一人で出かけよう

 おととしアーツ前橋で鴻池朋子さんのワークショップに呼ばれました。視覚障がい者と健常者がいっしょに参加するプログラムでした。そこで水戸から参加して下さった白鳥さんという方に出会いました。白鳥さんは全盲です。全盲ですが、どこでも電車で一人で出かけます。私はまだこれができないのです。




 調べたところ始めに電車に乗る駅で、目的地を伝えれば駅員さんがバトンを渡すように私を目的の駅まで手を引いて下さるようですが、途中でトイレに行きたくなったらどうしたらいいのか考えるとどうしても一人で出かけることができないのです。その話を白鳥さんにしたところ、生きていくこつは甘える力だと教えて下さいました。でも行きたい所に向かって、お願いしたくても頼める人がいない場合はどうするのか聞いた所、人がいないとこにはいかないのだそうです。明快な答えでした。




 そもそも前から思っていたのですが、障がい者は電車のキップを買うためには券売機で買えません。なぜなら障がい割引は赤の手帳の提示が必要だからです。もちろんネットで予約販売もしてもらえません。緑の窓口で並んでキップを買う以外の方法はありません。不正販売をなくすためでしょうが、結果的に誰よりも手間をかけてしかキップを買う手段がないのです。何となく「みんなに迷惑をかけてまで、出かけて欲しくないんですよ、」という無言の圧力を感じてしまいます。




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 今回の本作りで展示図書館に行って、そこで初めて移動支援というものがあることを知りました。どういうものかというと、介護保険とニュアンスは近いです。1日私といっしょに家から出発して介助をしてもらい、帰りも送ってもらいます。費用は若干人によって違いますが、私は1割負担です。ありがたい限りです。ですがどうして誰もこのシステムを教えてくれなかったのでしょうか。自分で探さないとだめだなんて言わないでください。そもそも字が読めなくなってしまってますから、声で情報を教えて下さらないと介助を使おうにも使えないのです。行政の窓口でも聞いた所私以外で今まで移動介助を使っている方は1名しかいませんでした。ああ、もう少し早くこの手段を知っていればどんなに助かったであろうにと思うのです。点字図書館で聞いた所、プライバシー保護がマイナスに働いて伝えるべき人に情報が届かなくなってしまっているのだとおっしゃっていました。




 多分一昔前に比べると国や行政が障がい者のために手を差し伸べて下さる項目も増やして下さっているのもよくわかります。でももう少し踏み込んで欲しいのです。役所や病院に周知の難しい用語を並べた文章の冊子では、正直よくわからないのです。字を読むことから入る情報は使えない者にとって、行政から「三輪さん、こういった補助がありますよ。何か困っていませんか?」と情報を入れて欲しいです。




 話を一人で出かけることに戻します。白鳥さんに「盲導犬を連れて歩かないのですか?」と聞いたところ、「犬はあまり好きではないから。」という分かり易い答えが返ってきました。そうなんですよ、我が家もリュウという雑種犬がいるので、彼に申し訳なくて盲導犬は飼えないです。猫よ頑張れ、、。まずは県内から練習してみることからですかね。娘に何度も読み聞かせをした絵本「はじめてのおつかい」の気分です。